先日、ある有名クラブチームのサッカースクールへ生徒を集めるための集客方法についてご相談がありました。
そのクラブチームはコロナの影響で生徒数が伸び悩んでいて、今まで行ってきた集客方法には限界があると感じ、「WEBでどうやって集客すればいいのか」というご相談でした。
当然ですが、2020年はコロナによる影響で多くの業界に被害をもたらしました。今までと同じことはできず、この騒動を機にWEBに力を入れる企業さんや新しいことに挑戦したいという方が大勢いらっしゃったというのが今年の特徴です。
そこで今回は、サッカースクールで生徒数を増やすために実際に行ったヒアリング内容や市場調査の内容、弊社が行った集客方法の提案内容についてご紹介します。
*依頼者の特定を防ぐため、少しアレンジして紹介しています。
【現状分析】サッカースクールの課題についてのヒアリング
ご相談があった際に最初に行うのがヒアリングです。このヒアリングは提案を行ううえで一番重要なところになり、このヒアリングでどれだけ必要な情報を掘り起こせるかによって、成果は大きく変わってきます。
私達はヒアリング内容から仮設をたて、戦略を立てていきます。そのため精度の高いヒアリングを行うことで、クライアントが満足いく結果を出すことができるのです。
ヒアリング項目としてはざっくりと以下になります。
1.課題はなにか
2.競合はどこか
3.ターゲットユーザーについて
4.過去に行った施策や実績
5.ボトルネック
6.自社の強み・差別化要因
7.予算・目標数
もちろんご相談のメールなどを頂いた時点で私達も調査は行います。ですが、クライアントとのズレをなくすためにも必要です。ご依頼者から教えてもらうことはもちろん、ヒアリングを行っていくうえで自分では気づかなかった課題やボトルネックなどに気づき、クリアになったという方も大勢います。
今回行ったヒアリングに対する回答は、以下になります。
1.課題はなにか
⇒サッカースクールへの集客
今までは地域へのボランティアとして無料のサッカー教室やスター選手を呼ぶことで集客を行っていました。
しかし、コロナの影響もあり選手を呼ぶことも無料のサッカー教室にも足を運んでくれる人は少なくなったそうです。
2.競合はどこか
⇒同じエリアにある他のサッカー教室や塾などの習い事
人が集まる都市などではJリーグのクラブチームが運営するサッカースクールや、地元が根付いたサッカークラブや学校の部活があげられます。
また、サッカーではないですが学校が終わってから通う塾や習い事も競合として入ってきます。
3.ターゲットユーザーについて
⇒幼児から小学生とその親御さん
サッカースクールによっては小学生以上というところもありますが、幼児から通えるところもあります。今回のケースでは幼児も対象になりました。また、サッカースクールに通いたいと思っても決定権を持つのは親御さんになりますから、もちろんターゲット対象になります。
4.過去に行った施策や実績
⇒ホームページやSNSによる集客、無料サッカー教室や講演など
今までは無料のサッカー教室を行い、その宣伝は地方自治体や学校へのポスターを貼ってもらうなどして充分に集客はできていたそうです。
そのためWEB広告などに頼らずとも運営ができていましたが、今回の頃な騒動により無料サッカー教室が開きにくくなり、参加者数が減ってしまった現状がありました。
5.ボトルネック
⇒オフライン以外からの集客方法の手段を持ち合わせていない
サッカースクールの経営者や運営側にはWEBから集客するための具体的なノウハウを持っていないため、何をやったらいいのか分からない。WEB広告の代理店やコンサル会社に対して相談や見積もりをとったが、それが自社にあっているのか、また適正金額というのが分からないというのがありました。
WEBに関する知見がないため、判断ができないというのが大きな問題として感じられていました。
6.自社の強み・差別化要因
⇒サッカーを知っている人なら一度は聞いたことがある有名クラブチームが運営
これは今までWEBで集客しなくても良かった要因でもあるのですが、サッカーを知っている人なら有名なクラブチームが行っているため認知度は高いということが強みとしてあげられます。
Jリーグや最近では海外のクラブチームなどがサッカースクールを行っており、際立って能力が高い子にはそこからプロへの近道となります。
現在(2020年11月時点)スペインのビジャレアルCFに所属している久保 建英選手は、スペインの競合であるFCバルセロナスクールに通っていて、退会MVPに選ばれたことでプロチームに注目されたことは有名です。
7.予算・目標数
⇒予算は確定前で決まっておらず、目標数は全国で1000人(現在200人)
現在都心と地方の数カ所でサッカースクールが運営されています。コロナにより状況が変わったことで、WEBにかける予算を大きく取ることができるかもしれない。しかし、費用対効果はとても重要視するので、施策を行うことでどれだけの集客を見込むことができるのか提案がほしいというのが要望としてありました。
現在200人の生徒数を、来年中(2021年中)に全国で1000人を超えることが目標です。
細かいヒアリングは他にもいろいろありますが、大枠なヒアリング項目としては以上となります。
サッカースクールに限らず上記をもとにいろいろヒアリングさせていただくので、WEB集客などでご相談いただく際は、上記をあらかじめまとめて頂けるとより話が早く進みやすくなります。
【分析調査】サッカースクールの市場調査・競合調査
マーケティングを行ううえで、市場調査は必須となります。市場調査では大量のデータを集めた統計データを参考に行いますが、提案段階では一次データは行わず、二次データのみで調査を行います。
ここでいう一次データとは、特定の目的のために自らアンケートやインタビューなどを実施してデータを得ることです。一方、二次データとは他の目的のために調査が実施され、既に得られているデータのことを指します。
二次データは官公庁や市場調査会社が発表した信頼性のある統計データを使います。本来は二次データで得た情報から仮設を立て一次データに掛け合わせて調査を行いますが、提案段階でそこまでの労力がさけないのが実情としてあります。二次データで得たい情報としては、性別・年齢・ターゲットが居住する地域・所得などによる人口統計データを使ったり、SNSや媒体のユーザー層や好み・傾向などの調査を行います。
ここではターゲットとなるユーザーの生活やユーザーに行ってほしいアクションを起こすにはどうしたらいいのか、解像度の高い状態に持っていくことが重要です。ここで大きく外してしまうようなことがあると、提案する内容から乖離が出てしまうからです。
今回の場合、サッカースクールが全国にあるということなので、そのスクールが行われている地域の人口統計や年齢分布図、男女比などを洗い出し、具体的な競合調査を行いました。また、リスティング広告などを行うことも考え「地域名+サッカースクール」を中心としたキーワードの洗い出しから、シミュレーションを算出しました。
【戦略立案】サッカースクールに集客するための施策一覧
IT企業が集客を考えた際、WEBで何ができるのか考えますが、私の会社では課題を解決するためには“何が最適なのか”を考えるためにWEBなどのオンラインに限らず、オフラインでの集客方法も合わせて考えます。ただし、私達はオフラインでの集客は受けていないため提案のときにお伝えだけさせてもらい、自社でやられるか専門の会社さんにご依頼することをオススメさせてもらっています。
ではサッカースクールで集客するためにはどういった方法があげられるのか、WEBだけに限らずザッと洗い出したのが以下になります。
1.ホームページ
2.リスティング広告・ディスプレイ広告
3.SNS
4.メルマガ広告
5.ポータルサイト
6.まとめサイトやブログなど
7.街中の看板やポスター
8.新聞・雑誌
9.チラシ(ポスティングなど)
10.口コミ
それぞれの特徴を紹介していきます。
1.ホームページ
集客タイプ :オンライン
予算・コスト:制作10万円〜
オススメ度 :★★★★★
ホームページはストック型の情報収集や申込みを考えているユーザーに届けるのに一番向いている集客方法です。
サッカースクールのことを知っている人や知りたい人に向けて、どういった内容なのか、コーチはどんな人がやっているのか、練習場所はどこか、対象年齢や入会金や月謝、どうやって申し込んだらいいのかということを知りたい人に向けてまとめて紹介することができます。
ホームページはSEOなどの技術を使って、「地域+サッカースクール」などで検索した際に上位に出てくるように設定することで、比較的お金を安く抑え、24時間宣伝してもらえるため、サッカースクールを行ううえで必須の集客手段となります。
2.リスティング広告・ディスプレイ広告
集客タイプ :オンライン
予算・コスト:1日3000円〜
※目安
オススメ度 :★★★★☆
リスティング広告は検索結果に広告を出稿することをいい、ディスプレイ広告はWEBサイトの広告枠に表示される画像広告や動画広告などを使う集客方法です。
ホームページやブログによるSEOで上位に持ってくるには時間がかかりますが、広告ならお金を出すことで、SEOに比べると早く・多くの人に露出することができます。
サイトを作ったばかりでなかなか検索結果の上位に表示されない人や早く結果が欲しい人に向いています。また、SEOで上位表示できていないキーワードや上位表示したいキーワードや媒体に訴求することができます。
ただし、人気のキーワードによると1クリックで1000円を超えるものも少なくないため、予算が少ないスクールにとっては戦い方が限られてしまうのも特徴です。
3.SNS
集客タイプ :オンライン
予算・コスト:0円〜
オススメ度 :★★★★★
SNSはTwitterやInstagram、Facebook、YouTubeやTiktokなどを使った集客方法です。
費用が0円で誰でも始められるという大きなメリットがあり、多くの人に認知してもらうことができます。ホームページや広告と違い、コメントやDMを使ってコミュニケーションを取ることができるのも大きな特徴としてあります。
多くのサッカースクールでSNSを使うことが一般的ですが、活動内容を写真付きで紹介したり、宣伝などを行うぐらいなど有効活用されていない事例を多く見かけます。
4.メルマガ広告
集客タイプ :オンライン
予算・コスト:3万円〜
※一般的な広告出稿
オススメ度 :★★☆☆☆
メルマガ広告はサッカーに関することなどジャンルに特化したメールマガジンに広告を掲載する集客方法です。
ジャンルに特化したものがほとんどであり、その情報を求めて購読している人が多いため、ターゲットに絞って配信することが可能です。
ただし、無料であるものはメルマガを退会せずにいる人も多く、高読者数のわりには開封率が低く、想定以上に反応が悪かったということも少なくありません。また、サッカーに特化したメルマガであっても「サッカー好き=サッカースクールに興味がある」というわけではないため、選定には注意が必要です。
5.ポータルサイト
集客タイプ :オンライン
予算・コスト:3万円〜
※媒体や掲載期間により異なる
オススメ度 :★★★☆☆
ポータルサイトはインターネット上にあるさまざまなページをまとめた大きなWEBサイトによる集客方法です。
インターネット上にある大量の情報から検索を通して多くの人が訪れるため、サッカースクールでいうと、サッカーに特化したサイトや地域のスクールに特化したサイト、口コミサイトなどがあります。
ホームページでは検索結果に引っかからないキーワードからによるユーザーの流入を見込むことができるため、より多くの人に対してアプローチすることができます。
6.まとめサイトやブログなど
集客タイプ :オンライン
予算・コスト:0円〜
オススメ度 :★★★☆☆
2020年9月末でなくなってしまいましたが、naverまとめを中心としたまとめサイトやキュレーションサイト、サッカースクールの運営側が記載したブログや個人のブログなどによる集客方法です。
まとめサイトやブログは0円で始められることはもちろん、自社で運営しなくても紹介される形で掲載されることも少なくありません。
生徒の親御さんによる投稿もあり、掲載内容を見て入会を決める人が多いのも特徴です。
第三者によって記載されるため、内容をコントロールできないところがデメリットとしてあります。
7.街中の看板やポスター
集客タイプ :オフライン
予算・コスト:1万円〜
※地域や枚数によって異なる
オススメ度 :★★★★☆
対象エリアとなる街中に、看板やポスターを掲載することでその地域の人にアピールすることができる集客方法です。
WEBのように誰でも見られるわけではなく、限られてしまいますが、その地域にいる多くの人たちにアピールすることができます。ポスターなどは、学校や市役所などの自治体、協力的な店舗などで無料で掲載してもらうこともあります。
どうしてもWEBに比べると認知度を広げることに限りはありますが、その地域の人に深く関心を持ってもらえる集客方法としてオフライン集客としては有効な手段のひとつです。
8.新聞・雑誌
集客タイプ :オフライン
予算・コスト:30万円〜
※部数によって異なる
オススメ度 :★★★☆☆
新聞や雑誌などによる紙を使った集客方法です。
特に地方紙では、全国紙の新聞や雑誌と比べて安く、エリアに絞ってアピールすることができます。新聞の発行部数は減っているとはいえ、全国平均で1世帯あたり0.66部※1となっており、成人1000人辺り381.4部※2が発行されていることからも、多くの人が新聞を目にしていることになります。
※1 一般社団法人日本新聞協会2019年データより
※2 一般社団法人日本新聞協会2019年データより
ただし、地方紙であっても広告掲載にかかる費用は高く広告面積によって大きく変わるため、サッカースクールに通う生徒の親御さんである20代〜40代に対して新聞や雑誌でどこまで効果があるかは計りにくいというオフラインならではのデメリットもあります。
9.チラシ(ポスティングなど)
集客タイプ :オフライン
予算・コスト:1万円〜
オススメ度 :★★★☆☆
チラシによるポスティングや自治体や学校などによる配布、設置などによる集客方法です。
掲載枚数が多くなってしまうため、発行部数によって大きくお金がかかる場合があり、広くアピールすることができませんが、多くの人に一度は目に入る確率が高く、興味を持った人に情報を正確に届けることができます。
ポスティングに関しては特に地方にはいまだ有効な手段のひとつではありますが、チラシの発行やポスティングや設置の依頼などお金だけでなく多くの手間もかかります。
10.口コミ
集客タイプ :オンライン&オフライン
予算・コスト:0円〜
オススメ度 :★★★★☆
サッカースクールに通う生徒や親御さんによる口コミによる集客方法です。
入会する多くの場合、ネットによる評判やスクールに通う人の口コミによって後押しされて決めるという方が一番多いといわれています。特に信頼している人や知っている人からの口コミはネットや新聞などで書かれていることもよりも信頼度を高いと感じている人が多く、周りが入会しているから自分も入会しようというのは大きな動機となります。
周りから聞く口コミは信頼度は高いが多くの人に届けにくく、ネットによる口コミは多くの人に届くが信頼度は低いといった特徴があります。また、運営側がコントロールできないという側面もあります。
【提案内容】サッカースクールの集客でお答えした内容
私達からご提案させて頂いた施策項目としては以下になります。
1.リスティング広告・ディスプレイ広告
2.SNS
ホームページ制作もご提案させて頂くことを考えたのですが、サイト制作はクラブチーム本部の承認が容易ではないことや、費用の面、現状で充分な情報が得られているという点から今回は外しました。まずはすぐに結果が出やすいこの2つの施策を第1フェーズとして行い、安定して集客できたときに第2フェーズとして、SEO施策やコンテンツマーケティングを含めたサイト全体の改修を行うというお話を致しました。
最初に全部の提案を行うことも可能ですが、まずはヒアリングさせて頂いなかで、コロナの影響もあって生徒数が増えていない現状から生徒数を増やすことが急務であったために、リスティングやディスプレイ広告による短期集客を達成させます。
リスティング広告では、「地域名+サッカースクール」に関するキーワードを中心に構成し、ディスプレイ広告はリターゲティング広告を中心として行います。SNSでは、Facebook広告・Instagram広告、Instagramの運用とYouTubeの運用を提案しました。Facebook広告はお子さんの親にあたる30代以上の男性をターゲット層として考え、Instagram広告と運用ではお母さんやお子さんに向けて配信します。
もちろんサッカースクールがある地域に絞って広告配信し、広告ではサッカースクールの紹介、運用ではサッカースクールに興味を持ってもらえるように練習風景や実際にコーチが教えているテクニックの一部を紹介することを提案します。
YouTubeでも同様です。特にYouTubeはお子さんから親御さんまで幅広い層にリーチができるためとても有効です。その他、オフラインによるポスターやチラシの設置などは効果も高いため、可能ならば引き続きやった方がいい旨をお伝えさせていただきました。
今回のサッカースクールに関するご相談の提案は以上になります。今回ご紹介した提案(内容)が全てのサッカースクールに当てはまる訳ではありません。規模であったり、地域であったり、認知度によって大きく変わってくることをご理解ください。
ガレージファクトリーでは今回のようにスポーツスクールをはじめとする、さまざまなジャンルの集客についてのご相談も承っております。ご相談やご質問だけでも結構ですので、お気軽にお問い合わせください。