Shopifyの転売対策、アプリだけでは防げない理由|人気帽子店の事例

転売目的の注文は、Shopifyのアプリを1つ入れるだけでは、設定を読まれて回避され、いたちごっこになりがちです。システムを使った購入への対抗策と、名前や住所を変えて個数制限をすり抜ける注文への対策を重ねることで、本当に欲しいお客様に商品が届く状態をつくれます。
新作を出すたびに、店頭には開店前から行列ができる。オンラインストアでは、販売開始から5分もたたずに完売する。人気のブランドにとってうれしい悲鳴に聞こえますが、その裏で「本当に欲しいお客様に届いていない」という悩みを抱えているお店は少なくありません。
この記事では、Shopifyでオンラインストアを運営する帽子ブランド「THE H.W.DOG&CO.」で、ガレージファクトリーが取り組んだ転売対策の事例を紹介します。転売目的の注文に悩んでいるお店の方に、対策を考えるヒントになればうれしいです。
- 人気商品の販売で起きていた、転売目的の注文の実態
- Shopifyのアプリだけでは、転売対策がいたちごっこになる理由
- 転売目的の注文の主なパターンと、対策の考え方
- 対策の結果と、転売対策を考えるときのポイント
ご相談の背景:5分で完売、でも届けたい人に届かない
THE H.W.DOG&CO.は、キャップやハットなどを扱うヘッドウェアブランドです。東京の店舗と、Shopifyで構築したオンラインストアで商品を販売しています。


人気の商品は、店頭では開店前から行列ができるほど。オンラインストアでは、販売開始から5分もたたずに完売するのが当たり前になっていました。
ところが、注文の中身を見ていくと、転売を目的としていると思われる注文が後を絶たない状態でした。せっかくの新作が、本当に欲しいお客様ではなく、転売を目的とした人の手に渡ってしまう。ブランドにとっても、ファンにとっても、うれしくない状況です。
- 店頭
- 人気の商品は、開店前から行列ができるほど
- オンライン
- 販売開始から5分もたたずに完売
- 悩み
- 転売目的と思われる注文が後を絶たず、Shopifyのアプリによる対策だけでは防ぎきれない
実際に起きていたこと:定価4,400円が、フリマアプリで最大2万円超に
たとえば、ブランドのマネークリップ「MONEY CLIP(Brass)」。公式のオンラインストアでの販売価格は4,400円です。
ところが、フリマアプリでこのブランドのマネークリップを検索すると、11,111円から20,800円の価格で出品され、その多くが「売り切れ」になっていました。定価のおよそ2.5倍から4.7倍の価格です。

定価で買えるはずの商品を、ファンが数倍の価格で買うしかない。人気が高まるほど、こうした状況が広がっていきます。転売で売られた商品は、お店の売上にはなりません。一方で「正規の値段では手に入らないブランド」という印象だけが残り、新しいお客様を遠ざけてしまうおそれもあります。
※ 2026年10月に追記しました。出品者が転売を目的としているかどうかは、画面からは分かりません。ここでは、定価との価格差を示す例として紹介しています。
なぜShopifyのアプリだけでは防げないのか
Shopifyには、購入できる個数を制限したり、怪しい注文に印をつけたりするアプリがいくつもあります。もちろん、こうしたアプリも対策の土台として役立ちます。
ただし、アプリの仕組みは多くのお店で使われているぶん、転売を目的とする人にも知られています。1つの対策を入れると、すぐにその回避の方法が見つけられ、また別の対策を入れる。THE H.W.DOG&CO.でも、アプリだけの対策はいたちごっこになっていました。
転売目的の注文の、主な2つのパターン
注文の状況を詳しく調べると、転売目的と思われる注文は、大きく次の2つのパターンに分けられました。
- システムを使った購入
- 販売開始の瞬間に、プログラムなどを使って自動で大量にアクセスし、人の手では間に合わない速さで注文を入れるもの。一般のお客様が購入ボタンを押す前に、在庫がなくなってしまいます。
- 個数制限のすり抜け
- 「お一人様1点まで」といった制限に対して、名前や住所の書き方を少しずつ変えたり、別の名前を使ったりして、同じ人が何度も注文するもの。表面上は別のお客様に見えるため、単純な個数制限では止められません。
行った対策
そこで、Shopifyのアプリに頼りきるのではなく、上の2つのパターンそれぞれに対して、複数の対策を重ねる形で仕組みをつくりました。
- システムを使った購入への対抗策自動化された大量のアクセスや注文を見分け、一般のお客様の購入を妨げないようにしながら、入口で止める仕組みを整えました。
- 個数制限のすり抜けへの対策名前や住所などを変えて、個数制限の穴をついて購入しようとする注文を見分け、同じ人による複数の注文として扱えるようにしました。
※ 対策の具体的な中身は、公開すると回避のヒントになってしまうため、ここでは公開していません。
結果:転売目的の注文を、ほぼ100%防げる状態に
複数の対策を重ねた結果、転売目的と思われる注文を、ほぼ100%防げる状態をつくることができました。アプリだけの対策で続いていたいたちごっこから抜け出し、新作の販売のたびに対応に追われる状況もなくなりました。

何より大きいのは、本当にブランドを好きなお客様に、商品が届くようになったことです。ファンが転売で高くなった商品を買うしかない、という状況を減らし、正規の価格で手に入れられるようにする。それは、お客様との長い関係を大切にするブランドにとって、売上の数字以上に大切な成果です。
- 転売目的の注文
- ほぼ100%防げる状態に
- 運営
- 販売のたびに続いていた、いたちごっこから抜け出せた
- お客様
- 本当に欲しいお客様に、正規の価格で商品が届くように
転売対策を考えるときの4つのポイント
最後に、転売目的の注文に悩んでいるお店の方に向けて、対策を考えるときのポイントをまとめます。
- アプリ1つに頼りきらないアプリは土台として使いながら、お店の状況に合わせた対策を重ねます。1つの対策は、いつか回避されるものと考えておきます。
- 正しいお客様の買いやすさを守る対策を強くしすぎると、普通に買いたいお客様まで止めてしまいます。転売目的の注文の特徴を見極めることが大切です。
- 利用規約を整える転売を目的とした購入をお断りすることや、注文を取り消す場合があることを、利用規約に明記しておきます。
- パターンごとに対策を考えるシステムを使った購入と、個数制限のすり抜けでは、有効な対策が違います。まず、自分のお店でどんな注文が起きているかを確かめます。

まとめ
転売対策は、アプリを入れて終わりではありません。どんなパターンの注文が起きているかを見極め、それぞれに対策を重ねることで、いたちごっこから抜け出し、本当に欲しいお客様に商品を届けられるようになります。
- 人気商品の販売で、転売目的と思われる注文がどのくらいあるかを確かめた
- 注文のパターン(システムによる購入・個数制限のすり抜け)を分けて見ている
- アプリだけに頼らず、対策を重ねている
- 一般のお客様の買いやすさを損なっていない
- 利用規約に、転売目的の購入をお断りする旨を明記している
人気商品の転売にお悩みの場合は、EC事業戦略でご相談をお受けしています。お店の状況をうかがったうえで、対策の考え方から実行までをご一緒します。THE H.W.DOG&CO.とのお取り組みは、実績のページでもご紹介しています。