自社サイトをWordPressから卒業した理由|SEOとAI検索を考えたリニューアルの全記録

今回のリニューアルでは、WordPressのプラグインや管理画面が抱える脆弱性のリスクをなくすため、データベースも管理画面も持たない静的なサイトに作り直しました。あわせて、4つのサービスを軸にした構造、用語・コラム・サービスをつなぐ内部リンク、構造化データ、AI向けの案内ファイルなどを整え、検索エンジンにもAIにも「何の会社で、何に詳しいか」が正しく伝わるサイトを目指しました。
2026年10月、ガレージファクトリーのWebサイトをリニューアルしました。見た目を新しくしただけではありません。長く使ってきたWordPressをやめ、サイトの仕組みそのものを作り直しました。
SEOやデジタルマーケティングを支援する会社として、自社のサイトで何を考え、どんな判断をしたのか。この記事では、リニューアルのきっかけから、設計で意識したこと、SEOとAI検索(AIO・GEO)の観点で取り入れた工夫までを、実際の画面と図を使って紹介します。

きっかけは、WordPressの脆弱性の問題
これまでのサイトは、多くの企業と同じようにWordPressで作っていました。WordPressは、管理画面から誰でも記事を更新でき、プラグインを入れればさまざまな機能を足せる、とても便利な仕組みです。
一方で、その便利さは攻撃される入口の多さと表裏一体です。WordPressのセキュリティ企業Patchstackの報告によると、2024年にWordPressの関連で見つかった脆弱性は7,966件。そのうち96%がプラグイン、4%がテーマで、WordPress本体で見つかったものは7件でした。
| 見つかった場所 | 2024年の脆弱性 |
|---|---|
| プラグイン | 全体の96% |
| テーマ | 全体の4% |
| WordPress本体 | 7件 |
| 合計 | 7,966件 |
出典:Patchstack「State of WordPress Security in 2025」
つまり、危険の多くはWordPress本体ではなく、あとから足したプラグインやテーマにあります。プラグインを使っている以上、脆弱性が見つかるたびに確認と更新の作業が欠かせません。更新が少しでも遅れれば、サイトの改ざんや情報の流出につながるおそれがあります。当社のサイトも、この脆弱性への対応を常に意識しなければならない状態でした。
お客様のサイトの安全を考える立場の会社として、自社のサイトが常にそのリスクを抱えている状態は望ましくない。これが、仕組みから作り直すことにした一番の理由です。
新しいサイトの仕組み:攻撃される入口そのものを減らす
新しいサイトは、静的なサイトと呼ばれる仕組みで作っています。WordPressとの違いは、ページを「いつ作るか」です。
- WordPress
- 誰かがページを見に来るたびに、サーバーの中のプログラムがデータベースから記事を取り出し、その場でページを組み立てます。管理画面、プログラム、データベース、プラグインのどれかに弱いところがあれば、そこが攻撃の入口になります。
- 静的なサイト(新しいサイト)
- 記事はあらかじめ完成したページ(HTML)として書き出しておき、サーバーはそれをそのまま渡すだけです。データベースも、ログインする管理画面もありません。攻撃される入口そのものが、ぐっと少なくなります。
記事やお知らせは、文章のファイルとして書き、テンプレートから全ページを書き出す仕組み(静的サイトジェネレーター)を自社で用意しました。デザインやメニューは1か所を直せば全ページに反映されるので、ページが増えても見た目がばらばらになりません。
お問い合わせの送信だけは、サーバー側の小さなプログラムで処理しています。入力内容の確認や迷惑な送信への対策も、この部分に絞って行っています。
リニューアルで意識した3つの目的
- 01何の会社かが、すぐ伝わる
「SEO」「EC」「SNS・広告」「制作」の4つのサービスを軸に整理し、色とイラストで見分けられるようにしました。
- 02考え方と実力が、伝わる
コラムや用語集で、私たちの考え方と知識を具体的に見せ、相談する前に「この会社なら任せられる」と判断できる材料を用意しました。
- 03安全で、育てやすい
脆弱性のリスクを減らしたうえで、記事や実績を増やしていっても、サイトの構造が崩れない仕組みにしました。
SEOの観点で考えたこと
1. サイトの構造を、4つのまとまりで整理する
まず、サイト全体を「サービス」「ご依頼について」「ナレッジ」「会社」の4つのまとまりに整理しました。URLもこのまとまりに合わせ、どのページがどこに属するのかが、人にも検索エンジンにも分かるようにしています。
これまで /column/ や /faq/ にあったページは、新しいURLへ301リダイレクトで転送し、積み上げてきた評価を引き継いでいます。手順の考え方は、リニューアルで検索順位を落とさない手順で解説しているとおりです。
2. 用語・コラム・サービスを、内部リンクでつなぐ
サービスのページを柱ページとし、関連するコラムや用語集から内部リンクでつなげました。たとえば、コラムの本文に「CVR」や「内部リンク」といった用語が出てくると、最初の1回だけ用語集のページへ自動でリンクします。用語集のページからは、関連するサービスとコラムへ案内します。

考え方の詳細は、評価を集める内部リンクの設計で紹介しています。
3. 構造化データで、ページの関係を伝える
検索エンジンがページの内容を正しく理解できるよう、すべてのページに構造化データを入れています。会社、サービス、記事、用語などを別々に書くのではなく、互いにつながった1つの情報として記述しているのが特徴です。
| 伝えている情報 | 使っている種類 |
|---|---|
| 会社 | Organization(事業内容・対応地域・問い合わせ窓口・提供サービス・公式SNS) |
| 代表者 | Person(経歴・専門分野) |
| サービス | Service(支援内容・対象) |
| コラム・お知らせ | Article/NewsArticle(著者・公開日・更新日・画像) |
| 用語集 | DefinedTerm/DefinedTermSet |
| よくある質問 | FAQPage |
| ページの位置 | BreadcrumbList(パンくずリスト) |
4. 表示速度を、仕組みの段階から軽くする
静的なサイトは、見に来るたびにページを組み立てる必要がないため、それだけで表示が速くなります。さらに、画像を軽い形式(WebP)にする、CSSやJavaScriptを圧縮する、サーバーでの圧縮とキャッシュを設定するといった対策を重ねました。表示速度の考え方は、表示速度を改善する、3つの指標と直す順番で解説しています。

AI検索(AIO・GEO)の観点で考えたこと
最近は、Googleの検索結果にAIによる要約(AI Overviews)が表示されたり、ChatGPTなどのAIに質問して情報を探したりする人が増えています。こうしたAIの回答の中で、自社の情報が正しく使われるようにする取り組みは、AIO(AI Optimization)やGEO(Generative Engine Optimization)と呼ばれます。
AIがどの情報を引用するかの仕組みは公開されていない部分も多く、確実な方法はありません。そのうえで当社では、AIにも人にも、正しく理解されやすいサイトにするため、次の4つの工夫を取り入れました。
- 結論を先に書く
- すべてのコラムの冒頭に「この記事の結論」として、2〜3文の要約を置いています。AIにとっても人にとっても、記事の要点をつかみやすくなります。
- 言葉を定義する
- 用語集では、すべての用語を「ひと言でいうと」の1文の定義から始め、そのあとに詳しい説明、目安、よくある誤解を続けています。
- 構造化データでつなぐ
- 会社・代表者・サービス・記事・用語の関係を、構造化データで1つにつなげています。「どの会社が、どの分野に詳しいか」が機械にも読み取れるようにするためです。
- AI向けの案内ファイルを用意する
- サイトの要点をまとめた
llms.txtと、サービス・料金・よくある質問・用語集・コラムの本文をテキストでまとめたllms-full.txtを用意しました。あわせて、主なAIのクローラーがサイトを読めるように設定しています。

実際の llms.txt の冒頭は、次のようになっています。
# ガレージファクトリー合同会社
> SEO・EC・SNSのデータを見て、どこを直せば伸びるかを決め、
> 実行まで担当します。…
## サービス
- [SEOコンサルティング](https://garage-factory.co.jp/services/seo/): 効く順番に、検索の施策を実行します。
- [EC事業戦略](https://garage-factory.co.jp/services/ec-strategy/): …
※ llms.txt は、AIにサイトの概要を伝えるために提案されている形式です。すべてのAIが読み込むことが決まっているわけではありません。
リニューアルを終えて、これから
サイトは、作って終わりではありません。これからは、検索からの訪問や問い合わせの数を確かめながら、コラムや用語集、実績を少しずつ増やしていきます。どの工夫がどのくらい効いたのかも、数字が出そろった段階で改めて紹介する予定です。
- 使っているプラグインやテーマは、本当に必要なものだけになっている
- WordPress本体・プラグイン・テーマを更新し続ける体制がある
- サイトの構造とURLが、サービスのまとまりに合っている
- 記事・用語・サービスが、内部リンクでつながっている
- 構造化データで、会社とサービスの情報を伝えている
- 記事の冒頭で、結論が分かるようになっている
自社サイトの安全性やSEO・AI検索への対応、作り直しを検討している場合は、サイト・ツール制作でご相談をお受けしています。今のサイトの状況をうかがったうえで、作り直すべきか、今のサイトを直すべきかから一緒に考えます。